第1期 第16回医鍼連携研修を下記要領にて開催しました。
日時:2019年11月17日(日) 受付開始 9:10
場所:東京大学医学部附属病院 管理・研究棟 2階会議室
カリキュラム
- 現代医学 : 膠原病・関節リウマチ
- 現代鍼灸 : 関節リウマチ(評価と治療の実際、注意点)
- 中医鍼灸 : 婦人科・不妊治療
- 経絡治療 : 疲労・倦怠感
※ 中医鍼灸…誠心堂薬局 小宮悠輝先生
現代医学
今回のテーマは「膠原病・関節リウマチ」、これらを専門とする津田篤太郎先生による講義です。
関節リウマチ(RA)の臨床的特徴・レントゲン画像での所見、治療目標、治療薬、など、リウマチの現代医学の最前線を解説していただきました。
RAの患者さんが薬でコントロールしていることを前提として、鍼では、関節を柔軟にしたり、浮腫を軽減させたり、免疫を上げたりといった面で介入できるといいます。
また、RAは早期診断・早期治療が大切であり、鍼灸の臨床の場で出会うことがあれば専門医に繋げられる重要性が理解できる講義でした。
RA以外の膠原病では、不明熱、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、血管炎、強皮症、ベーチェット病などの概要とサポートについての解説がありました。
中医鍼灸
今回のテーマは「婦人科疾患と不妊治療」、前半部分の講義を横田先生が、後半の治療・実技では 誠心堂薬局 小宮悠輝先生が担当されました。
妊娠は月経周期を整えるのが重要で、月経周期に関係する経脈や、臓腑のどのような作用で月経に至るかの解説がありました。月経は下向きの容れ物に血が溜まっていき張力がなくなると出血が始まる、など、横田先生の説明はイメージがわきやすく頭に残りやすい内容です。
治療では、周期療法や基礎体温のタイプによる弁証論治、頭診・脈診・舌診・腹診それぞれにおいて三焦を診る「三焦調整針法」をご紹介いただきました。実技では「三焦調整針法」にならった診察と刺鍼を実施しました。
経絡治療
今回のテーマは「疲労・倦怠感」です。
肝・腎・肺・脾胃・自律神経型由来の分類ごとの病態の説明がありました。特に現代型の自律神経型では、さらに3分類され脈や症状や所見の特徴を教えていただきました。
治療はそれぞれの本治対応と標治対応が解説され、その後に実技練習です。
頸部のコリに対する対応や、胸部・背部の特徴的な所見など、タイプ別に多数の所見の紹介があったため、研修生はおのおのの気になる所見を決まられた時間内で確認しあいました。
ほかに、自律神経型と関連して、慢性疲労症候群や、摂食障害の講義も展開されました。
現代鍼灸
今月のテーマは「関節リウマチ(RA)に対する現代鍼灸」です。
日本リウマチ友の会で発行しているリウマチ白書から、リウマチの患者さんの実態の紹介がありました。
RAの特徴的な症状の項では、早期RAを疑う患者は専門医に紹介することの重要性が語られました。
活動性と機能障害の評価法の紹介のなかでは、写真スライドで RAと変形性関節症(OA)との違いを見ながらの理解しやすい解説です。
関節別・病気別治療計画、テスト法の注意などの解説のあとに、実技では粕谷先生の掛け声とともに頸部のリリース、鍉鍼による手の治療を、ペア組みで実施しました。