第2期 第2回医鍼連携研修を下記要領にて開催しました。
会場:東京大学医学部附属病院 中央診療棟2 7階大会議室
日時:2019年6月16日(日)9:30~16:50
カリキュラム:
- 臨床各論共通テーマ…肩関節痛
- 東洋医学的な考え方についての系統的な講義…中医鍼灸 病理、経絡治療 病理理論
現代医学
肩関節痛の診断には解剖学が最も重要!というお話があり、筋肉を中心に解剖の詳しい解説がありました。その後、「医師に紹介が必要な疾患(整形外科・内科・救急/循環器科)」「まず鍼灸を試してもいい疾患」、それぞれの概要と鑑別について学びました。講義中は講師から次々に質問が飛び、受講生も身が引き締まります。
最後にエコーを使って肩関節周りの立体イメージを確認し、研修生からの質問(流行の「肩甲骨ハガシ」について、関節包への刺鍼等々)への丁寧な回答で終わりました。
現代鍼灸
鍼灸現場で一番多い症例で、かつ、鍼灸適応である肩関節周囲炎を中心とした講義でした。
成因・原因部位・メカニズム・病期分類・疫学についての詳しい解説があった後、触診と徒手検査のコツ、刺鍼の注意点、さらにエコーとパルスも活用してアプローチする筋肉の深さを意識した刺鍼の重要性について説明がありました。最後に、デモの受講生同士で僧帽筋の下に走行する棘上筋と棘下筋に刺鍼する実技を行いました。
中医鍼灸
3つの治療ポイント①経の及ぶところは治の及ぶところ!②上の病を下で取れ!左の病を右で取れ!陽の病を陰で取れ!③四肢の疾患は体幹の経穴で取れ!に沿って説明があり、巨刺で運動鍼をするメリット、体幹部の運動鍼は深呼吸で等々にも話が及びました。
「陰陵泉」「条口」「手三里」「尺沢」「夾脊穴」と局所への刺鍼デモ後に受講生同士の刺鍼となりました。※可動域が狭い患者に有効な火鍼のデモも実施。
総論は病理。縦軸の上が(陽)気、下が(陰)液という中医学の考え方と虚実を組み合わせた4カテゴリーについて説明がありました。気も滞ると正常でなくなることを車の渋滞に、さらには気逆を逆走車に例える等、イメージが想起しやすく説明して下さいました。
経絡治療
肩周りの治療に有効な治療である運動鍼について、「前処置」「姿位の取りかた」「1回の治療による改善の目安」等の説明とデモがあり、研修生同士の実技となりました。
総論では、東洋医学の人体観である「内外の陰陽論」に五行論を載せたものが病理理論であること、基本四証は各システムの機能障害であり、症状からシステム障害の場所を辿って補寫を加えるのが経絡治療あるという説明がされました。。
さらに、経絡治療の二つの病理(四分論、二分論)のうち、四分論の「陽実(急性熱病について詳説)」「陽虚」「陰実」「陰虚」についてと、経絡治療の2大法則①陰主陽従②すべての病気は虚から始まる、についても説明がありました。